沢村、無念初黒星…伝説の草薙でプロの洗礼

[ 2011年4月29日 06:00 ]

<ヤ・巨>6回2死、バレンティンに左翼へソロアーチを浴びる沢村はガックリ

セ・リーグ 巨人0-4ヤクルト

(4月28日 静岡)
 巨人の沢村は悔しさをかみ殺し「次頑張ります」と3度繰り返しただけだった。初被弾も喫し7回1/3を4失点でプロ初黒星。チームも3連敗で沢村栄治伝説発祥の地は、苦い思い出の地となった。

 初回、先頭の青木に直球を4球続け、ストレートの四球で歩かせた。原因は足場。川口投手総合コーチは「傾斜を使うのが難しい。地方球場独特のものだから」と指摘した。草薙球場でのプロ野球3連戦は史上初めて。同コーチは「3試合目だから、最初からかなり掘れていた。特にパワーピッチャーが投げると掘れる」と続けた。

 雨中の前日はヤクルト・由規が登板しており、沢村の強いフィニッシュがさらにマウンドをえぐる。先頭打者への四球は2、8回にも続き、どちらも走者を還した。この日投じた123球中、直球は73球止まり。ストライク率60・2%という精度の低さが変化球に頼らせ、直球という持ち味を奪った。5四球で3者凡退は一度もない。相手の館山とは対照的だった。

 2回にけん制でボークを犯し、犠飛から無安打で先制された。5回はバント処理で二塁へ悪送球し初失策。失点後には一塁ベースカバーが遅れ、併殺を逃す場面も。中大の高橋善正監督は「まだ投手じゃない。速い球を放りたがるただの“投げ屋”」と沢村を指導してきたが、恩師の言葉通りにミスも続けた。

 原監督は「若武者らしく、いいところも出たけれど投手として、もう少し繊細さをね。勉強になったと思う」と話した。地方球場への対応も、細かい技術も、プロで勝ち抜くのに必要なもの。逆にミスを犯しながら4失点で済んだのは、地力があるからにほかならない。沢村は球場を離れた後で広報を通じ「きょうの負けは僕の責任です。先発としてゲームメークしないと。次の登板は勝ちます」とコメント。沢村栄治ゆかりの地は力は貸してくれずとも、大投手への道のりに必要な多くのものを教えてくれた。 

 ▼ヤクルト・伊勢総合コーチ 沢村はフォークが多くてかなり落ちていた。真っすぐの走りが良かったら厄介だった。

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2011年4月29日のニュース