楽天、1勝につき100万円…震災孤児を支援

[ 2011年4月26日 06:00 ]

練習を見つめる星野監督

 楽天は25日、東日本大震災による震災孤児の支援のため、今季の1勝につき100万円を寄付することを発表した。三木谷浩史会長(46)、星野仙一監督(64)、選手会、球団で寄付金を出し合う。星野監督が目標に掲げる80勝がクリアされれば、総額は8000万円。球団創設7年目での悲願のリーグ優勝に向けて積み重ねる1勝で、震災孤児に活力と希望を与える。

 東日本大震災からの復興に向け「特別な1年」と位置づけるシーズン。球団初のリーグ優勝に向けて、新たなモチベーションが1つ加わった。

 「みんなで協力してやれることなので、本当にいいことだと思う」。エースの岩隈が話すように、今季1勝につき100万円が震災孤児の支援を目的に寄付されることになった。震災で両親が死亡、もしくは行方不明となった震災孤児は厚生労働省のまとめ(18日現在)では阪神大震災時の68人を上回る103人。最終的には200人前後になるとも予想されている。震災孤児は精神的な傷だけでなく、経済的にも大きな苦労を強いられる。復興へ向けて交通やインフラの復旧に力が注がれているが、子供の未来を支援することも重要な社会問題となっている。

 今季のチームは、東北の思いを背負って戦っている。勝利を重ねるほど子供たちの未来が開かれることになり、優勝への思いは一層強くなった。田中も「1つでも多く勝てるように、僕も貢献したい。もちろん毎試合勝つつもりでやっているけど、一層のモチベーションになります」と決意を新たにした。

 星野監督は今季の勝利数の目標を「背番号77プラス3勝」の80勝に設定している。もちろん、優勝を意識しての数字だ。思い通りのシーズンを送ることができれば、8000万円が寄付されることになる。1勝100万円は当初は被災地への義援金という形でも検討されたが、球団と選手会が話し合い、最終的に震災孤児への支援金に決定。星野監督も「目的がはっきりしていた方がいい。子供たちのためになるから大賛成と言った。勝つための目標ができた」と賛同した。

 チームは8日に仙台の避難所を訪問し、被災地の現状を肌で感じ取った。選手会長の嶋がナインの気持ちを代弁する。「勝つことで喜んでくれる人がたくさんいる。野球は誰かのためにやった方が力を発揮できると思う」。その上で自身も目標を80勝に置き「そこを狙わないと優勝できない。目の前の試合を全力で戦って、白星を積み重ねていきたい」と続けた。楽天ナインが勝ち星を積み重ね、1人でも多くの震災孤児に希望の光を注ぐ。

 ◆楽天の支援活動

 ▼募金活動 3月19日にナゴヤドームで募金活動を開始。試合や練習の合間に時間をつくり、神戸、札幌、博多など各地で義援金を呼びかけた。

 ▼寄付 全選手が年俸の一部を義援金として1000万円以上を寄付。チームスタッフも全員が賛同して協力した。

 ▼避難所慰問 4月7、8日に宮城県内の避難所を訪問。サインや写真撮影などで激励。選手は野球道具を持参し、キャッチボールも行った。

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2011年4月26日のニュース