長谷川滋利氏分析 崖っ縁で理想の投球できた松坂

[ 2011年4月20日 07:10 ]

<レッドソックス・ブルージェイズ>強打のブルージェイズ打線を1安打に抑え込んだ松坂

ア・リーグ レッドソックス9―1ブルージェイズ

(4月18日 ボストン)
 【長谷川滋利SHIGGYリポート】松坂は崖っ縁の状況で、自分が理想とする投球ができたのではないか。7回で89球。アウト21のうち、フライが14。球速自体はそれほど速くはなかったが、ブルージェイズの打者はタイミングが一つ遅れていた。捕手のバリテックが高めを効果的に使い、それに応える球威があったので、フライアウトが多くなった。

 松坂は今季、長いイニングを投げるために、いかにストライクゾーンで勝負できるかをテーマに置いていると聞く。その考えには賛成だ。この試合は8割近くがカットボール、ツーシームを含む直球系。変化球はスライダー以外、ほとんど使わなかった。

 メジャーに移籍した当初、松坂は空振りを取れる球種をいくつも持っていることが最大の特長といわれてきた。はまった時は快投するが、制球が定まらない時は球数だけが増えて自滅する。その繰り返しだった。日本では相手打者の裏をかく配球が良しとされるが、球数制限があるメジャーでは必ずしもそうとは言えない。

 裏をかく配球は、相手も裏をかかれたことになるので、バットを振ってくれないことが多い。特に松坂のような球威がある投手の場合は、相手が予測している球で打ち取れるようになると、球数は減る。この日はほとんどが直球系だったので、ブ軍打線も早いカウントで狙ってきたが、手元で動かして芯を外した。相手の裏をかく配球は、中盤以降のピンチの時でいい。松坂も、やろうとしている方向性が間違っていないことを確信したと思う。

 この試合、球数から行けば、メジャー初完封の可能性は十分あった。フランコナ監督は、前回が47球だったため、段階を踏んで増やしていくことを交代の理由に挙げたようだが、これがベケットやレスターだったら最後まで投げさせたはず。やはり今は先発5番手。ベテランのウェークフィールドにも登板機会を与えないといけないチーム事情も加味した判断だろう。

 ただ、レッドソックスの場合は高いレベルの先発投手が5人そろっているだけで、2、3試合好投を続ければ、すぐに首脳陣やファンの見方も変わる。松坂には自分の力で立場を上げていってほしい。

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2011年4月20日のニュース