成瀬これぞエース!マリン風を操り4安打完封

[ 2011年4月20日 06:00 ]

<ロ・西>完封で西武を破り里崎(右)とハイタッチをかわすロッテ・成瀬

パ・リーグ ロッテ2―0西武

(4月19日 QVCマリン)
 荒天さえも武器にする。それもまた、エースと評される投手のなせる技だ。試合開始時に2メートルだった風速表示計は、3回に6メートル、5回には9メートルの強風に。7回には11メートルもの突風が吹き荒れた。QVCマリンで通算58試合目の登板となったロッテ・成瀬をして「こんなに急に変わるのは記憶にない。昼すぎ(午後1時)のデーゲームだからかな?」と言わしめるほどに、刻々と風速、風向きが変わった。

 立ち上がり。直球は130キロ台前半。普段の球威が出ないことを逆手に取った。同球場では、センターからの強風はネット裏のスタンドで跳ね返り、投手は逆に向かい風を受ける。つまり直球は逆風を受け打者の手元で沈みにくくなる。「直球のスピードが遅かったが、その分ホップする。それがフライにつながった」。風が強くなった3回以降、三振以外の15個のアウト中12個を飛球で奪った。

 同時に生きたのが新球のカーブだ。「逆風でブレーキが利き、曲がりも大きくなる」と3回以降に解禁。5回に昨季対戦打率・538と苦手の高山のタイミングを外して中飛とするなど、昨季までにない緩急を生んだ。右打者の外角へのスライダーも交ぜ、従来の決め球のチェンジアップに頼らず幅を広げた。

 球種だけでなく、コースも風任せ。中盤には「ライトへの風が吹いていた。レフトには打たれても大丈夫」とコースを絞り、4回に片岡、栗山を連続左飛に。1点勝ち越した直後の7回は、中堅方向から本塁への強風を頼りに中村、フェルナンデスに大胆に攻め、フェンス際で失速する中飛と右飛。「風がなければどちらも僕の中ではホームランという当たり」と話したが、計算通りの攻めだった。縦の風から横風に変わった9回は「ギアチェンジしたかった」と、この日最速の138キロを連発するなど上位打線を力でねじ伏せた。

 4安打完封での今季初勝利。「きょう(19日)は本当に風が味方をしてくれた」。それも、地の利とは決していえない気まぐれな風模様に合わせて投球を変化させられる技術があってこそ言えるセリフだった。

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2011年4月20日のニュース