「オヤジ」稼頭央V打!楽天堅首 2カード連続勝ち越し

[ 2011年4月17日 06:00 ]

<楽・オ>5回、松井稼は左中間へ先制の2点適時二塁打を放ち、「よっしゃー」

パ・リーグ 楽天2―1オリックス

(4月16日 甲子園)
 メジャー帰りの男が試合を決めた。楽天は16日、オリックスに連日の1点差勝利。5回に松井稼頭央内野手(35)が0―0の均衡を破る決勝の2点適時二塁打を放った。主催試合として甲子園に乗り込んだチームは2万人を超す観衆の前で開幕から2カード連続の勝ち越しを決め、単独首位をがっちりキープ。優勝請負人として8年ぶりに日本球界に復帰した松井稼が、星野楽天を引っ張っている。
【試合結果】

 野球道具の入ったカバンを重そうに肩にかけ、足早に報道陣の前を通過しようとする。いつもと変わらない試合後の様子が、松井稼らしかった。ロッカールームを出てバスに向かう途中で囲まれると「えっ、何かあった?」と目を見開いた。

 こだわるのはチームの勝利だけ。「若いもんがいい投球していたから。オヤジはオヤジでやりますよ」。先発の永井と9回を締めたスパイアーにお立ち台を譲った。自身の決勝打よりも「いい緊張感があるよね。投手が最少失点で抑えて、チームに一体感が出ている」と1点差勝利を喜んだ。

 息詰まる投手戦の均衡を破った。5回2死二、三塁。1ボール2ストライクから内角低めに食い込む直球を右打席で力強く引っ張った。「内角を待っていたわけではないけど、うまくバットが出た」。打球はあっという間に左中間を抜け、2者を生還させる二塁打。田淵ヘッドコーチを「やっぱり、メジャー帰りのベテランは頼りがいがある」とうならせた。

 今年10月に36歳を迎えるが、その肉体は若手もほれぼれするほどだ。現在の体脂肪率は12%。「若い頃はずっと体脂肪率は1桁だったけどね」と笑うが、若手に負けないトレーニングで肉体の衰えを防いでいる。前日は日本球界復帰後初本塁打となる先頭打者弾を放ち、盗塁も決めた。躍動感はトリプル3を達成した西武時代と変わらない。

 年齢を重ねてもパフォーマンスを維持するため、松井稼が大切にしているのは体の切れ。試合前練習は必ず10メートルダッシュ2本で締める。「体に切れを出すためにね」。人工芝や土、スパイクやトレーニングシューズとダッシュする際の条件によって目安のタイムを設定し、コンディションを確認する。走攻守で瞬間的に最大の力を出すため、欠かせない準備だ。

 チームは開幕から2カード連続で勝ち越しを決めた。代替球場ながら、観衆は2万1498人。本拠地・Kスタ宮城の過去最多記録まで202人に迫った。首位を守った星野監督は開口一番「ふー、しんどいな」と大きく息を吐き、手応えを口にした。「僅差をものにすれば粘りもつく。少ないチャンスを生かすのが、うちの野球」。理想に掲げるのは、好機を得点につなげて守り勝つ野球。その中心に松井稼がいる。

 ≪楽天 09年に並好スタート≫楽天がオリックスに連勝し単独首位をキープ。チームにとって開幕5試合で4勝1敗は09年に○○○○●と同じ4勝1敗で乗り切ったのと並ぶ好スタートだ。この日は松井稼が右打席で左腕の中山(オ)から先制二塁打。前日まで左打席では11打数5安打(打率・455)1ホーマーだったが、右打席は4打数で単打1本だけ。日本球界復帰後初の右打席での長打が勝利を呼び込んだ。西武時代の松井稼は右打席の通算打率が・321で左打席の・303より上。今季初V打をきっかけに右打席での打率アップを図りたい。

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