松井、ア・リーグ制覇弾!逆転勝利呼ぶ“存在感”

[ 2011年4月15日 06:00 ]

<ホワイトソックス・アスレチックス>延長10回1死一、二塁、クリスプの中前打でチームが勝ち越し、松井はベンチで喜ぶ

ア・リーグ アスレチックス7―4ホワイトソックス 

(4月13日 シカゴ)
 アスレチックスの松井秀喜外野手(36)が13日(日本時間14日)、ホワイトソックス戦に5番・DHで先発し4打数2安打1打点。4回にUSセルラー・フィールドで自身初となる先制2号ソロを放ち、ア・リーグ球団の本拠地全球場で本塁打を達成した。3点を追う9回には同点打をお膳立てする右前打。貴重な働きで、延長10回での逆転勝利に貢献した。
【試合結果】

 両手には確かな感触が残っていた。0―0で迎えた4回1死。松井は左腕ダンクスの甘く入ってきた88マイル(約142キロ)直球を逃さず強振した。10日のツインズ戦以来3試合ぶりの一発。打球は低い弾道で中堅スタンドへ吸い込まれた。

 「先取点が欲しいところ。手応えは良かったし、入ると思った。試合展開の中でもいい本塁打」

 理想的な打撃だった。左足を軸とし、こまのように鋭く回転。バットが内から外へ最短距離で出ているからこそ、球を強くたたけた。しかも昨季は打率・236と苦しめられ、今季も前日の試合まで13打数2安打、打率・154と封じられていた左投手からの1本。ボブ・ゲレン監督も「打った音が凄かった。スイングは格段に良くなってきた」と喜んだ。

 日本人史上初の記録も達成していた。これでメジャー通算163本だが、意外にも同地では初めて。足かけ9年でア・リーグ全本拠にアーチをかけた。普段から記録は意識しないため、今回も「打っていないのは知っていた。遅かったよね、何年かかったんだろうという感じ。(感想は)特別ない。チームが勝ったから良かった」と淡々。しかし「何年」も遠くに飛ばす技量と体力を維持していなければ、到達できない数字。松井が打ち立てた金字塔のひとつであることは、変わりない。

 実は前夜、本塁打を予感させる出来事が起きていた。宿舎のエレベーターでのこと。部屋に戻ろうとしたゲレン監督は、偶然松井と一緒になったという。「いいスイングしてたなと声を掛けたら、“もうあとちょっと”って言っていた。きれいな発音で、満面の笑みを浮かべたよ」。自信に満ちあふれた言葉を頼もしく感じたばかりだった。

 試合は延長戦を制し勝率5割復帰。9回には3点差を追いつくきっかけとなる右前打を放った松井は、チームの底力に「この先凄く楽しみ。(リーダー的存在)そうなれるよう、しっかり結果を出していきたい」と語った。日米500本塁打にもあと5本。松井にとっては通過点にすぎないが、1本1本の積み重ねが勝利につながる。

 ≪思い出深い敵地でまた≫USセルラー・フィールドは松井にとって思い出深い球場だ。ヤンキースに移籍した2003年の7月15日に球宴が行われ、イチロー、長谷川(いずれもマリナーズ)とともに出場した。松井は7番・中堅で先発し、第1打席で左前打。記念すべき球宴初安打も記録している。球場には今でも当時のさまざまな写真が壁に張られており、ビジターの監督室には球宴に出場した全選手とスタッフの集合写真が両リーグともに飾られている。ヤ軍のユニホーム姿で写っている松井を見たホ軍のクラブハウス職員は、「いい顔をしているだろ。あの頃からいい選手なのは変わらない」。敵地のスタッフにも強烈な印象を残した勲章が、また一つ加わった。

 ≪カード最終戦は好調≫今季の松井はデーゲームで行われるカード最終戦の4回の打席に注目!?時間帯別では、デーゲームが打率・368、2本塁打、3打点なのに対し、ナイターは打率・174、4打点。カード最終戦はチームは4戦全勝で、松井も打率・368、2本塁打、3打点と好成績を収めている。イニング別を見ると、4回に活躍することが多く、打率・429、2本塁打、4打点と大暴れだ。

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