待ってろ東北!岩隈決意「ウイニングボール届ける」

[ 2011年4月12日 06:00 ]

だ円形のボールを使いキャッチボールする岩隈

 鎮魂の祈り、そしてウイニングボールは被災地へ――。東日本大震災の復興支援試合として開催される今季のプロ野球公式戦が、12日にセ・パ同時開幕する。未曾有の震災で甚大な被害を受けた宮城県仙台市に本拠を置く楽天は、岩隈久志投手が5年連続で開幕投手を務め、ロッテとの一戦に先発する。12日に30歳の誕生日を迎える右腕は必勝を誓うと同時に、被災者の思いを背負ったマウンドを最後まで守り抜き、完投勝利の記念球を被災地に届ける。

 過去の経験値から開幕戦の重みは知っている。しかし、岩隈にとってもチームにとっても、今季が持つ意味は特別だ。

 「ウイニングボールは被災地に届けたい思いがある。自分だけでなく、チームのみんなも同じ気持ちだと思う」

 岩隈にとって5年連続の開幕投手。これまでは、監督や活躍したチームメートにウイニングボールを手渡してきた。今季も東日本大震災が起こるまでは同じ気持ちだった。「開幕投手にはこだわりもあるし、開幕戦に勝ちたい気持ちは強い。でも、今年は星野監督の初勝利になるんだから、主役は監督ですよ」と話してきた。チームを勝利に導き、新監督に記念球を手渡すつもりだった。

 だが、地震で東北が被災して気持ちに変化が生まれた。8日には鉄平ら8選手とともに、宮城県女川町の避難所を訪問。津波にビルが流され、電車が横転する光景。言葉を失い、次に涙がこぼれ落ちた。それでも、苦境でも明るさを失わない被災者と触れ合い、気持ちを新たにした。「変わり果てた町を見て“頑張らないといけない”と強く思った。被災地の方の思いを背負い、一緒に戦うつもりでマウンドで使命を果たしたい。今年は特別な1年になる」。岩隈は球団創設時からチームを支えてきた。これまで力をもらってきた東北のファンに、自らの投球で今季初白星を届けるつもりだ。

 岩隈とバッテリーを組む選手会長の嶋も「逆に元気をもらった。(避難所を慰問して)僕たちが暗くなってちゃ駄目だ、勝つことで喜んでもらえるんだ、と思った」と心境の変化を口にした。

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