松井“日本に元気”1号!4番で目覚めた看板直撃弾

[ 2011年4月12日 06:00 ]

<ツインズ・アスレチックス>出た移籍1号!!4回無死、満員の敵地ファンを黙らせる先制弾を放った松井

ア・リーグ アスレチックス5―3ツインズ

(4月10日 ミネアポリス)
 アスレチックスの松井秀喜外野手(36)が10日(日本時間11日)、ツインズ戦に今季初めて4番・DHで先発し4打数2安打1打点。4回には右翼の2階席下の看板に直撃する推定398フィート(約121メートル)の先制1号ソロを放った。昨季開場したターゲット・フィールドで、12日に開幕する日本プロ野球を景気づける豪快な一発。出場試合8試合とメジャー移籍後では最も時間がかかったが、緑のゴジラがついに目覚めた。
【試合結果】

 4回先頭、松井は1ボール1ストライクからの3球目、82マイル(約132キロ)チェンジアップを強振。打球は日本への思いも乗せ、右翼2階席下の看板を直撃した。前の打席で空振り三振に倒れたのと同じ球種。その軌道が頭に残っていた上に、甘く入ってきた。

 「高めに浮いてラッキーでした。(4番で一発は)偶然ですけど、勝ちにつながったので良かった。1本出ると多少落ち着く」

 通算44試合で8本目とツ軍戦の相性はいい。メジャー20球場目での一発。開幕から出場8試合目はメジャー移籍後最も遅いが、今季初の4番起用に応えた。打率1割台の不振の中で、タイミングの取り方を試行錯誤。この日は、変化球に対し開きがちだった右脇が閉まり、インパクト時に折れる傾向のあった右膝も伸びて、回転した力がうまくバットに伝わった。

 指導を続けるジェラルド・ペリー打撃コーチもこのスイングを絶賛。手首の返しが早く、ゴロを打つ癖があるだけに「最近はいい感覚を忘れないように、日本語で“いい手”を連呼している。素晴らしいスイングだったよ」と称えた。

 3種類のバットを併用してスイングの理想を追求する。試合用バットが87センチ、重さ910グラム前後に対し、ティー打撃で使うのが75センチの短バット。片手用だが松井は最初の20~30球目を両手で打つ。短いバットは球を引きつけないと打てないため、大事な確認作業の1つだ。フリー打撃では重さ1キロのマスコットバットで最短距離のスイングを心がける。同じ感覚で打てるよう、3本ともグリップの形状は同じだ。

 日本では東日本大震災の影響から延期されていたプロ野球が開幕する。日米通算494本目の一発は号砲代わり。試合後はいつものように「頑張ろう!日本」と書かれたメッセージボードの前に立った。「いいプレーをして皆さんが前向きに、頑張れる気持ちが大きくなるよう頑張りたい」。チームは今季初の連勝。松井のアーチは、日本の活力になる。

 ≪指揮官も絶賛≫アスレチックスのボブ・ゲレン監督は、松井が試合前の打撃練習で柵越え5本を放つと「ボール代として、ロッカーに小切手を置いておけよ」と冗談を飛ばし、1号ソロを「凄い打球だった」と振り返った。この日は、松井とクリーンアップを組むウィリンハムも6回先頭で左翼へ特大の3号ソロ。打球は2階席から場外に抜け、飛距離は松井をしのぐ427フィート(約130メートル)と発表された。指揮官も「打線が活発になってきた」と手応えを感じた様子だった。

 ◆松井のシーズン出場8試合目の1号本塁打は米国移籍以来、最も遅い。打席数では03年の34打席目。4番での決勝弾は日米通じて初めて。
 
 ◆松井はヤンキース、エンゼルス、アスレチックスでの1号本塁打がいずれもツインズ戦。しかし敵地戦では初本塁打で通算20球場目の一発となった。なお、ポストシーズンではツ軍の旧本拠地メトロドームで2本、フィリーズの本拠地シチズンズバンク・パークでも1本記録している。
 
 ◆日米通算500本塁打にあと6、同1500得点にあと5。日本選手では前者を過去8人、後者を過去5人(イチローを含む)が達成。

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