マー君 避難所訪問で「逆に元気をもらった」

[ 2011年4月9日 06:00 ]

<楽天被災地訪問>避難所となっている東松島市の大曲小を訪問、被災者の子供たちに笑顔を見せる田中

 マー君、決意新たに――。楽天の星野仙一監督(64)ら首脳陣と選手が8日、東日本大震災で被害を受けた宮城県内の避難所などを4班に分かれて訪れた。田中将大投手(22)は嶋、青山ら9選手と東松島市の大曲小学校を訪問。Kスタ宮城からタクシーの移動中には津波の爪痕が残る町並みに胸を痛めたが、避難所では元気を与えるために笑顔で過ごした。被災者の思いを背負って、9日から千葉市内で練習を再開し、12日の公式戦開幕に臨む。

 ほんの一瞬でもストレスのたまる避難所生活を忘れられるように。自らの訪問が活力につながるように。田中は笑顔で接し続けた。滞在した1時間はサインの手を止めることなく、中腰になって子供との写真撮影を繰り返した。

 「快く迎え入れてくれるか不安だったけど、逆に元気をもらった。シーズンで頑張る姿を見せることが必要だという思いが強くなった」

 Kスタ宮城から避難所へ近づくにつれ、津波による甚大な被害を目の当たりにすることになった。道路脇には泥だらけになった家電や畳。さらに、田んぼには船や車が横転していた。避難所となっている小学校もガラスは割れ、時計の針は止まったまま。グラウンドも地盤が沈下し、でこぼこだった。この様子に、「津波の爪痕に胸が締め付けられた…」と声を絞り出した。それでも、一緒に訪問した嶋選手会長の「僕の今までの苦労なんてちっぽけなものだと、あらためて思った。みんなの笑顔に胸が熱くなった」との言葉に、沈んだ気持ちは胸にしまい込んだ。笑顔には笑顔。田中からサインをもらった中学1年の三浦智佐樹君は「頑張って野球を続けたい」と声を弾ませた。

 前夜は、仙台市内が最大震度6強の余震に見舞われた。楽天ナインにケガ人はなかったが、自宅マンションで過ごしていた田中も大きな揺れを感じ「凄い揺れで怖かった」。部屋の中で、揺れが収まるのをじっと待ったという。身をもって地震の恐ろしさを感じた。

 開幕は12日。シーズンが始まれば、被災地に直接赴き支援することは難しい。しかし、自らの投球で復興への活力を生み出すことはできる。「この1年も大切だけど、まだ不安定な状況が続いているし、長い目で支援していかないといけない。ただ、今年は特別な1年になる。ユニホームを着たら野球に集中して、僕らのプレーで元気や勇気を与えることができればいい」。宮城県で胸に刻んだ思いをマウンドで体現する。

続きを表示

この記事のフォト

2011年4月9日のニュース