選手会長・嶋「帰れず何もできず…すみません」

[ 2011年4月8日 06:00 ]

ジャージー姿で山形空港に到着した嶋

東日本大震災

 ジャージー姿で山形空港に降り立った楽天選手の表情は一様に硬かった。震災後初の仙台入り。Kスタ宮城へ向かうバスの中では、窓の外をじっと見つめて体を乗り出す選手もいた。仙台に戻るのは3月3日の練習以来、35日ぶり。球場で解散となり、ホテルに宿泊する一部の選手を除き、自宅へと向かった。

 選手会長の嶋は甲子園での練習後にナインの気持ちを代弁した。「1カ月も帰ることができなくて申し訳ない気持ちです。いつも東北の方には助けてもらったり、元気をもらった。それなのに、苦しんでいる時に現地で何もできずにすいませんでしたと言いたいです」。出てきたのは謝罪の言葉。すぐに被災地を訪問できなかった苦しい胸の内を明かした。

 被害の大きさに心を痛めながら、同時に無力さも感じた。「がれきの1つでも取り除いて力になりたい。みんな帰りたくても帰れないもどかしさを抱えていた」と嶋。しかし、シーズンへ向けての準備を中断することはできない。さらに、楽天の行動は他の11球団にも影響を与える。日程や代替球場も定まらない中、被災地支援を優先させることはできなかった。

 嶋は主将の鉄平と遠征地でもできる支援活動を考えてきた。話し合いは深夜まで続いたこともあった。練習や試合の合間には球場や駅で募金活動を行い、2日に札幌ドームで行われた日本ハムとの慈善試合前には、気持ちを込めたスピーチで支援を呼びかけた。8日は選手が野球用具を持って避難所を訪問する。

 「子供たちと野球をやったりして、元気づけたい。少しでも多くの人の力になりたい」

 1泊2日の短い滞在。それでも楽天ナインにしかできないことはある。

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2011年4月8日のニュース