松井　日米通算２５００安打！移籍初安打初勝利

＜アスレチックス・マリナーズ＞２回、レフトへ日米通算２５００安打となる二塁打を放った松井

ア・リーグ アスレチックス７―１マリナーズ

（4月3日 オークランド）
　日本デーで節目を飾った。アスレチックスの松井秀喜外野手（３６）が３日（日本時間４日）、日米通算２５００安打を達成した。マリナーズ戦の２回、新天地での移籍初安打となる左翼線二塁打。イチロー外野手（３７）の好返球でアウトになったものの、積極走塁でナインを鼓舞するシーンもあった。２安打１打点でチームの今季初勝利に貢献。東日本大震災の復興支援として行われた「日本デー」で、打って走ってゴジラが主役となった。
【試合結果】

　二塁に到達した松井を、スタンドの２万２２９２人は総立ちで称えた。場内スクリーンで「おめでとう２５００安打」というメッセージが流れると、声援と拍手が膨れ上がる。松井は控えめに緑のヘルメットを掲げた。

　「反対方向にいい打撃ができた。個人的に記録は意識しないけれど、何年も１本、１本と積み重ねてきた。そういう意味では素晴らしいと思う」

　白地の松井Ｔシャツが１万人に配られた「日本デー」。主役は無論、ゴジラだった。２回無死、外角へ逃げるツーシームを強く叩くと打球は左翼線へ。今季から本拠地での日曜日の試合で着用する、黄色を基調としたユニホーム姿。開幕８打席目で新天地での初安打を記録し、「ジャパンデーに合わせたんでね」と報道陣を笑わせた。

　０７年５月６日の２０００本から１４２８日。両膝を手術した影響から、５００本の上乗せには長い時間がかかった。しかし今季は「膝は術後では一番いい」。打撃練習ではスイング前に、１度右足に重心を乗せてから左足に体重をシフトする。わずかコンマ何秒の差だが、左膝に不安があればできないしぐさだ。

　３６歳。年齢との戦いの中で練習法も変わってきた。もともと必要以上の重い器具を使っての筋力トレーニングは行わなかったが、昨季から全て控えた。「筋肉をつけたから飛距離が伸びるとは思わない。僕には合っていない」。必要なのは強い下半身と回転。「体重を軸足に乗せて回転して、パワーをボールに伝える」が持論だ。ソフトバンク・王貞治会長の現役時代と同じ手法。余分な筋肉をつけないのは新たな故障防止の意味もある。今年はベスト体重の１０２キロ前後でキャンプイン。一時期１１０キロまで大きくした体は、年齢とともに過去のものになった。

　「野球を辞めても、過去を振り返るか分からないですよ」。そう。記録した瞬間、その数字も過去のものとなる。２５００安打の直後、次打者の右飛ではイチローの強肩を承知で三塁を狙った。「１死三塁なら得点の可能性は上がる。それに懸けた」。アウトにはなったが、チームリーダーとしてナインを鼓舞する姿に「非常に積極的だった」とボブ・ゲレン監督。ベンチでは手を叩いてゲキを飛ばし、第４打席では適時右前打を放って今季初勝利に貢献した。

　日本デーで見せた、全力でチームを引っ張る姿。「被災された方々の力になれれば、という気持ちはある」。次なる節目の３０００安打へ、松井はこれまで同様に１本、１本を積み重ねていく。

　≪父・昌雄さんにもう一つのプレゼント≫孝行息子の快打を、スタンドで見守った父・昌雄さん（６９）も喜んだ。両親そろって開幕３連戦を観戦。節目の安打を見届けた昌雄さんは「松井Ｔシャツが１万枚も配られたその日に、２５００安打が出て本当にうれしい」と笑顔を見せた。先月２８日は昌雄さんの誕生日。松井からはカフスボタンを贈られ、この日初めて着用してきたという。２５００安打という新たなプレゼントももらい「着けてきた時に打ってくれて良かった」と大喜びだった。

　▼巨人・長嶋茂雄終身名誉監督　松井選手の日米通算２５００本安打達成を心からお祝いします。ケガなどさまざまな困難を克服しての偉業に、東日本大震災で被災した方々をはじめ、多くの日本人が励まされたと思います。肉体的にも精神的にもまだこれから。次は３０００本安打を目指し、これからもバットで勇気と希望を与え続けてください。

　▼ソフトバンク・王貞治球団会長　おめでとうございます。一つ、区切りができて良かった。まだイチローより若いでしょ？アメリカは試合数も多いし、記録は選手にとって通過点でなければいけない。３０００本を目指して頑張ってもらいたいね。来年、再来年と２年間あればできる。どうモチベーションを保っていけるかが大事になる。