バレンティン2発!頑張リマス、日本デ…

[ 2011年4月4日 06:00 ]

慈善試合<ヤ・広>4回無死二、三塁、バレンティンが福井から左中間に3ランを放ち、生還前に天に向かってパフォーマンス

復興支援試合 ヤクルト6―1広島

(4月3日 神宮)
 ここにも不安と闘う人間がいる。ヤクルトの新外国人・バレンティンが1試合2発。観客を動員した試合では、東日本大震災が起きた11日横浜戦(横浜)以来のアーチだ。鳴り物応援を自粛した右翼席には傘の花が開き、東京音頭の歌声が響いた。

 「1本目は三塁に走者がいたので、外野に持っていける球を待っていたんだ。2本目の相手はパワーピッチャー。米国で慣れてるから」

 2点リードの4回、広島ドラフト1位・福井(早大)が投じた低めの直球に腕を伸ばし、左越え3ランを放った。8回はサファテの148キロ直球をバックスクリーン左へ運んだが、いずれも見逃せばボールにも見える2球だった。「ベース付近の球はどこでも好きだよ」と笑ってみせた。

 笑顔の裏に不安を隠している。カリブ海に浮かぶオランダ領アンティル出身で、11日の横浜戦で左越え2ランを打った直後に地震が発生し、恐怖を味わった。「こんな地震に遭ったことはないし、巨大地震は初めて」と異国で寝不足の日々を送る。原発問題もあり、帰国する外国人選手が続出。「彼らの気持ちは分かる。帰国した方が安全なのは確かだから」と理解を示す一方で、自身は日本に残る選択をした。

 日本への信頼もある。07~09年に在籍したマリナーズで同僚だったイチローを尊敬。練習時に打撃フォームをまねしたり、この日もイチローの球団最多安打記録更新に大喜びした。「ニュースでは東京は大丈夫だという。それを信じ、選手として野球に集中したい」。両球団の応援席から「ニッポン」コールが巻き起こる。日本で暮らす外国人選手もまた「がんばろう!日本」の一員だ。

 ▽オランダ領アンティル 西インド諸島にあるオランダの自治領でキュラソー島、ボネール島、サン・マルタン島、サバ島、セント・ユースタティウス島がある。面積809平方キロメートルで人口約20万人。これまでメジャー選手も輩出しており、キュラソー島出身のアンドルー・ジョーンズ(現ヤンキース)は05年に本塁打と打点の2冠。94~96年にロッテ、ヤクルトでプレーしたミューレンも同島出身。

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2011年4月4日のニュース