ソフトバンク新スターター 18回連続無失点 “デビュー”決まった

[ 2011年3月20日 11:53 ]

<ソ・ヤ>6回を3安打無失点に抑えた摂津

 ソフトバンクの摂津正投手(28)は19日のヤクルト戦(ヤフードーム)に先発し、6回3安打無失点。2月23日の練習試合(対韓国KIA)からの実戦での連続無失点イニングを18に伸ばした。東日本大震災の影響でパ・リーグの開幕が延期され、公式戦の先発デビューは4月16日の西武戦(ヤフードーム)が有力となった。秋田出身。08年まで8年間、被災した仙台市に本社を置くJR東日本東北に勤務した。第二の故郷へ、その右腕で勇気を与える。

 経験したことのない雰囲気だった。試合前は1分間の黙とうがささげられ、左袖には喪章を付けた。ヤフードームは一切の鳴り物応援なし。東日本大震災支援を掲げた試合のマウンドへ上がったのは、秋田出身で被災地の一つ仙台市で8年間、生活した摂津だった。

 「自分にとっても特別な思いで臨んだ。いまはできることを頑張ろうと思いました。なおさら結果が出て良かった」

 プロ最長の6回3安打無失点6奪三振。「(ヤフー)ドームは中継ぎの感覚で投げてしまう」と飛ばしすぎた序盤は体が突っ込み、カーブが浮く場面もあった。だが、3回までは48球中カーブは4球に抑え、直球、スライダー、シンカーの3種類を中心に組み立てた。中盤以降には修正し、5回2死満塁のピンチはそのカーブで青木を一ゴロ。87球と1イニングあたり14・5球のペース配分には「最後は修正できた。彼は完投勝利する能力のある投手だ」と高山投手コーチも絶賛した。

 2月23日の練習試合・韓国KIA戦(アイビー)から、実戦は18回連続無失点。20奪三振で奪三振率は10・00だ。コンビを組んだ同じ東北の青森出身・細川は「(募金活動を通じて)東北人としてこみ上げてくるものがあった。絶対に点を取られないようにと思いました。東北バッテリーで勇気を与えられた」と熱く語った。まだ、摂津には連絡の取れない知人がいる。遠く離れた九州でも大震災は身近な問題だ。「きょうはたくさんの人が、募金をしてくれたと聞きました。ありがたい」。この日は登板準備のため試合前の募金活動には参加できなかったが、20日にはチームメートとともに募金箱を持つつもりだ。

 「彼の場合は球数を増やしていくこと。順調にきている」と秋山監督も先発転向した右腕に目を細める。開幕が延期され、公式戦の先発デビューは5戦目となる4月16日の西武戦(ヤフードーム)が有力となった。できることに全力を注ぐだけ。摂津は先発への階段を一歩ずつ、上がっていく。

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2011年3月20日のニュース