小林宏がチーム離脱 家族待つ千葉へ帰宅

[ 2011年3月16日 06:00 ]

一時離脱した小林宏

 阪神・小林宏投手(32)が15日、甲子園球場で休日返上練習をした後、家族が待つ千葉県内に一時帰宅した。11日に発生した東日本大震災以降では初めての帰宅となる。家族とつかの間の再会を果たし、17日にはチームへ再合流。開幕へ向けた調整を再開する。

 本来ならすぐにでも家族の元へと駆けつけたかったろう。だが、小林宏は一家の長である前に、プロ野球選手としての立場を最優先してきた。東日本大震災の発生から4日。首都圏も原発の影響で放射線が検出されるなどしているが、ロッテからFA移籍してきた右腕は、ようやく妻と子供が待つ千葉県内の自宅へと一時帰宅することとなった。

 「一度、家の状況を見ておきたいということやったから、休みを変更しました」

 山口投手コーチが語ったように、この日は先発投手陣の指名練習で、リリーフ陣には休養が与えられていた。震災発生当初は16~19日までの関東遠征中に帰宅する段取りだったが、前日までに16~18日までの3試合がすべて中止。それらのスケジュール変更を受け、休日を返上し甲子園球場で調整することを決めた。

 グラウンドに午前10時前から姿を見せると、精力的にメニューをこなした。キャッチボールを終えてからは、ショートダッシュ。体の切れを上げるべく、何度も40~50メートルの距離を疾走した。

 「(休日返上は)暇だったんで。(ロッテ時代には)ないですね。開幕が遅れる分には問題ない。そのまま調整していくだけですから」

 小林宏が休日返上の真意を明かすことはなかったが、流動的な状況に陥っている開幕までの調整に向けて確かな自信を見せた。対外試合で結果もきっちりと残しており、ここまでは順調そのもの。4日のソフトバンク戦、9日の楽天戦、13日の巨人戦はいずれも1イニングを無失点。抜群の安定感もさることながら、巨人戦では速球がさえ2三振を奪っていた。

 「(関西へ)家族を呼ぶことはないです」

 つかの間の再会の後には、再び単身赴任の生活となる。ユニホームを脱げば、家族のことは片時も頭から離れないだろう。それでも、マウンドへ上がれば野球に集中するしかない。請われてやってきた猛虎のため、小林宏は私情を封印する。

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2011年3月16日のニュース