「お帰り!」星野監督2693日ぶり甲子園

[ 2011年3月10日 06:00 ]

<神・楽>7回無死、星野監督は本塁打の聖沢(左)を出迎える

オープン戦 楽天2―2阪神

(3月9日 甲子園)
 闘将、聖地に帰る――。楽天・星野仙一監督(64)が9日、オープン戦で古巣・阪神と対決。プロ野球の監督として甲子園で指揮を執るのは阪神で日本シリーズに出場した03年10月24日以来、2693日ぶりとなった。試合は攻守でミスが重なって引き分けに終わったが、平日にもかかわらず集まった約9000人のファンから熱い声援を受けた。今秋の日本シリーズで凱旋することを誓い、闘将の「夢」を実現させる。 

 身にまとうユニホームは替わり、指揮するベンチも一塁側から三塁側に変わった。それでも、甲子園が特別な場所であることは同じ。星野監督は選手通路からベンチへの階段を一段一段ゆっくり上ると、目を細めながら聖地の風景を味わった。

 「階段が多いな。改装されてからの甲子園は初めてか。球場らしい球場だよな。感慨深いものがあるよ」

 2693日ぶりに凱旋する闘将を、ファンも心待ちにしていた。平日のデーゲームにもかかわらず、詰めかけた観衆は約9000人。スタンドからは「星野さん、お帰りなさい!」、「また阪神に帰ってきてや!」と声が飛び、フェンスに張り付くようにして写真を撮るファンもいた。試合前の練習中には、03年に一緒にリーグ優勝の歓喜を味わった桧山、新井らの選手やコーチ陣が次々とあいさつにやってきた。

 楽天の指揮官となっても、古巣への愛着は失っていない。「そりゃあ、阪神のことは気になるよ。新聞でチェックしてる」。それでも、試合になればスイッチは切り替わった。「甲子園での試合は久しぶりだけど、試合に入ったらノスタルジックにはならない」。感慨に浸ることなく、勝つことに集中した。

 攻守でミスが出るたびに、ベンチで厳しい表情を浮かべた。2失点は失策や中継の乱れといずれも守備のミス。打線は6回まで無安打に抑えられた。7回に藤川からチーム初安打となる左越えの本塁打を放った聖沢は、同点の8回1死二、三塁で浅い左邪飛。さらに三塁走者の大広が暴走気味に本塁を突いてアウトとなり、勝ち越すことができなかった。試合後に阪神の印象を聞かれると「よそのチームを評価する前に、自分のチームを評価しないと。このチームをどうやって強くするかしか考えていない」とキッパリ。聖沢についても「ホームランは期待していない。その後で打っていればベタ褒めだったけどな」と奮起を促し「あの場面で何とかできるチームになってほしい」と語気を強めた。

 甲子園で数々の思い出をつくり、指揮官として優勝も味わった。しかし、立場は変わった。期待されているのは、昨季最下位に低迷したチームの再建。「秋には甲子園でね。それが夢」。夢は古巣と戦う日本シリーズ。就任会見で語った夢を、聖地で再び口にした。

 ≪次は6月交流戦で≫今季の楽天と阪神のオープン戦はこの日の1試合だけで、次の対戦は交流戦。5月28、29日はKスタ宮城で、6月18、19日は甲子園で開催される。さらに星野監督の夢が実現すれば日本シリーズは10月29日にKスタ宮城で開幕。甲子園での激突は第3~5戦(11月1~3日)となり、星野監督が監督生活通算14年目で悲願の日本一を成就し、かつての本拠地で宙に舞う可能性がある。

▽星野監督の前回甲子園 阪神監督時代の03年10月24日、ダイエー(現ソフトバンク)との日本シリーズ第5戦。初回に金本のソロで先制し、1点を追う6回には桧山が逆転打。3投手の継投も決まり、3―2で日本一に王手。試合後「もう甲子園に戻ってくることはないと思うけど、必ず福岡ドームで胴上げして帰ってきます」と話し、最後の縦じまユニホームで4万7000人の声援に応えた。

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