開幕譲らん!岩隈 統一球カーブで3回1失点

[ 2011年3月6日 06:00 ]

<楽・西>3回を投げ1失点の楽天・岩隈

オープン戦 楽天10―2西武

(3月5日 長崎)
 5年連続開幕投手を目指す楽天の岩隈久志投手(29)が5日、オープン戦・西武戦(長崎)で実戦初登板した。先発で3回を4安打1失点に抑える上々のスタートを切り、カーブも全46球中4球披露。統一球仕様の緩急を使った投球スタイルに変貌を遂げた。6日の同じ西武戦(長崎)に先発する田中将大投手(22)との開幕投手争い。エースのプライドに懸けて一歩も譲らない。
【試合結果】

 腹は決まっていた。2回2死一塁。原を追い込んだ岩隈は嶋のサインに3度首を振った。そして投じた球は113キロのカーブ。意表を突かれた原はファウルにするのが精いっぱい。岩隈が決め球にカーブを選択するのは珍しいことだ。

 「カーブはいい抜け方をして曲がりも落差も大きいので試したかった。楽しめますね。カウント球でも勝負球でも使えるから投球の幅を広げられる」。今季から導入された低反発の統一球は縫い目の幅が広く、空気抵抗を受けやすい。打者にとって飛ばない半面、投手の岩隈にとっては変化球の曲がりが大きくなり「ボールが動くから投手有利になった」という。

 プロ12年目。フォーク、スライダー、シュートを主体にしてきたが、全てが120キロ後半以上の球速で長年対戦した打者には直球待ちでも球筋を見極められるケースが目立ってきた。一方で110キロ前後のカーブは目先を変える使い方。「昨年まで10球も投げていない」と話すように9回投げて5球程度だった。それがキャンプでカーブの有効性を確認。この日は決め球に使った1球以外の3球は全て初球のカウント球に使い、2度見逃しストライクを奪った。統一球仕様の緩急をつけた投球スタイルに変わり、受けた嶋も「速い系の変化球ばかりだったのでカーブはいい味付けになる」と振り返った。

 昨オフにポスティング・システム(入札制度)によるメジャー挑戦もアスレチックスとの交渉が決裂して残留。目標を楽天のリーグ初制覇に切り替えた。「開幕投手は特別。あの緊張感は他の試合では味わえない」。開幕戦は144試合のうちの1試合にすぎない。しかし、シーズン初戦の勝敗がチームに与える影響の大きさを理解しているからこそ、エースとしてこだわり続ける。田中と開幕投手を争うのは08年以来2度目。「あの時は開幕直前に開幕投手を告げられた。今季と同じ展開ですね。21勝した年と同じだから縁起はいいですね」。過去最高のシーズンだった08年の再現を思い描いている。

 星野監督は「いろいろなボールを試していたな」と変化球の切れの良さに目を細めたが、開幕投手については「これからの話」とあらためて開幕直前まで決めない方針を示した。「次は長いイニングを投げてステップアップしていきたい」と岩隈。今季は初の本拠地・Kスタ宮城での開幕戦(3月25日、対ロッテ)。栄えあるマウンドを田中に譲る気はない。

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