1度は失格も…中田、志願の三塁守備練習

[ 2011年3月5日 06:00 ]

志願して三塁の守備練習を行った中田

 チームの危機が自身を突き動かした。日本ハム・中田が、一度は失格の烙印(らくいん)を押された三塁で志願の守備練習を行った。

 「自分で(三塁の守備練習を)やりますと伝えました。何があるか分からないので。(首脳陣から)やれ、と言われた時にどこでも準備しておかないと」

 田中、小谷野と攻守の要が相次いで骨折。開幕戦出場が絶望となる中で、黙って指をくわえているわけにはいかなかった。札幌ドームでの4日の全体練習。岩舘、陽岱鋼(ヨウダイカン)らが守っていた三塁のポジションに、中田が進み出た。「守らせてください」――。そして、ノッカーの真喜志内野守備コーチが放つ打球を丁寧にさばいていく。1球1球確実に処理する姿に、中田の精神的成長が見て取れた。

 今季はキャンプから実戦14試合で7本塁打と打撃好調を維持している。プロ初の4番に抜てきされた3日のヤクルト戦(札幌ドーム)でも特大3ランを放ち、梨田監督から「開幕4番」の可能性を示唆された。一方で、守備位置は一塁、左翼と日替わりで固定されていない。まして三塁守備は2軍時代に失格を言い渡されていた。ルーキーイヤーの08年、イースタン・リーグ51試合で三塁を守ったが、11失策。同9月27日の巨人戦(ジャイアンツ)を最後に、中田が三塁で起用されることはなかった。そんな中で、中田は4番で三塁手の小谷野が右手豆状骨(とうじょうこつ)を骨折したこともあり、あえて「鬼門」のポジションを買って出た。

 ただ、ノックを見守った梨田監督も「誰かが故障したから中田をサードというわけにはいかない。一塁の守備がこのところ安定してきたからね」と語ったように、現時点で中田の三塁復帰には否定的な見解を示した。それでも、1、2軍を往復したこの3年間で「全員野球」「守備重視」というチームカラーを自らの体に染みこませた中田は非常事態に備え、3年ぶりのホットコーナーでの打球の感覚を思い出したかったのだ。

 「小谷野さんや(田中)賢介さん。ケガした先輩の穴を少しでも自分が埋めることができれば…」。その視線には力がこもっていた。 

 ▽中田のプロ初失策 初実戦の08年2月7日の紅白戦、紅組の「4番三塁」で出場。打席内容は2三振含む3打数無安打1四球。守備でも6回に打球を一塁に悪送球し、ホロ苦デビュー戦となった

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2011年3月5日のニュース