ライバル物語第2章幕開け…斎藤&マー君対面

[ 2011年2月28日 06:00 ]

試合前に楽天・田中(左)、ダルビッシュ(右)と談笑する斎藤

 宿命のライバルが再会した。日本ハムのドラフト1位・斎藤佑樹投手(22=早大)が27日、オープン戦が行われた沖縄県名護市営球場で楽天・田中将大投手(22)と対面。互いにエールを送り、共闘して活躍することを誓った。公の場で2人が顔を合わせるのは06年10月4日の国体・高校野球硬式の部決勝以来1607日ぶり。早実と駒大苫小牧のエースとして高校野球の球史に残る激闘を演じた2人のライバル対決は、いよいよプロの舞台で第2章が幕を開ける。

 ダルビッシュにエスコートされた斎藤が、田中に歩み寄った。照れ笑いを浮かべながら握手を交わす。3人で談笑していると、気を利かせたダルビッシュがその場を離れ、2人きりとなった。

 約2分間の対面。斎藤は「あいさつ程度で、お互いの近況報告です。たまたまあんな機会があった」と説明。田中も「悪いことを話してた、ってことにしておいてください」とかわした。

 実は2人は昨年末に06年高校日本代表メンバーの会合で顔を合わせていた。ただ、公の場では5年ぶりのツーショット。その舞台裏をダルビッシュは「斎藤を(田中に)会わせなくっちゃ、って(球団)広報がうるさいから。同級生だからあいさつする必要はないだろ、って言ったんだけど。(2人の雰囲気は)ぎくしゃくしてました」と冗談交じりに明かした。さらにプロとしては先輩にあたる田中の態度について「迫力出してるふうでしたけど、まだまだ全然っスよ」とちゃかした。サブグラウンドにいたルーキーの斎藤が、球場で練習を始めた楽天ナインに1人で近寄るのは難しい。そこで球界を代表するエースが斎藤を連れて、まず星野監督にあいさつ。そして宿命のライバルとの仲を取り持った。

 球史に残る06年夏の甲子園決勝再試合の主役2人。あの夏を境に同世代の代名詞は「ハンカチ世代」になり、田中は「田中世代にしたい」と発奮して先に球界を代表する右腕へと成長した。だからこそ、田中は言った。「ダルさんから学べることもたくさんあると思う。年末に会った時はプロでの過ごし方とか話しました」。プロ5年目を迎えて余裕のエールだ。もっとも、今キャンプで斎藤とダルビッシュが急接近したことには、ダルビッシュの弟分として複雑な思いもあるようで、「嫉妬?オレは女子ですか!?」と苦笑いした。一方の斎藤は「(田中は)1年目から活躍しているところとか参考にする部分がある。早くそのレベルに達していきたい。負けたくないというか、一緒に頑張りたい」と、2人で球界を盛り上げる意気込みだ。

 梨田監督は「プロでは実績が違うけど、2人にはいろんな思いがあるだろう。その中で夢の続きをやってほしい」と期待する。5年前の夏のようにライバルの存在が刺激になり、最高の力を引き出してくれる。斎藤は「(田中と会って)自分がやっとプロに(入って)来られた、いよいよかなって感じです」。切磋琢磨(せっさたくま)しながら、ともに成長していくのが理想の姿。2人のライバル物語は新たな伝説を紡いでいく。

 ≪斎藤とマー君≫斎藤(早実)と田中(駒大苫小牧)の初対戦は05年秋の明治神宮大会準決勝。このときは4回途中から田中が5回2/3を2安打無失点と好救援し、駒大苫小牧が逆転勝ちした。06年夏の甲子園決勝では、延長15回を1人で投げきった斎藤と3回途中から救援した田中が互いに譲らず、1―1で引き分け。37年ぶり2度目となった決勝再試合で、斎藤は最後の打者・田中を空振り三振に仕留め、早実が初優勝。「王先輩も荒木先輩もできなかったことを、自分たちが成し遂げて本当にうれしい」と涙を浮かべた。その後2人は日本高校選抜の一員として米国に遠征。10月の国体決勝では再び対戦し、斎藤が完封で田中に投げ勝ち2冠を達成した。

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