効果は松坂で実証済み 東尾修氏 斎藤のカーブへの意識を歓迎

[ 2011年2月11日 11:07 ]

東尾修氏(左)からアドバイスを受ける斎藤(中)

 現役時代に通算251勝を誇ったスポニチ評論家の東尾修氏(60)が、日本ハム・斎藤に西武監督時代に松坂大輔を育てた「カーブの効用」を説いた。

 カーブを投げることによって肘を柔らかく使い、フォームのバランスを良くするという理論。斎藤はこの助言直後のフリー打撃で糸井に試投。東尾氏は黄金ルーキーの胸中に芽生えた意識を歓迎した。一方で、スライダーの曲がりなど実戦初登板となる13日韓国サムスン戦での注目ポイントを挙げた。

 関係者に聞いたら斎藤は「体がカーブを欲していたんです」と言ったらしい。スラーブのように見えた球がそうだったようだ。曲がり具合はともかく、カーブを投げようという意識が出てきたのは歓迎したい。

 フリー打撃登板前のブルペンに入る際、バッテリーコーチ兼任捕手の中嶋を交えて3人で雑談した。私が監督のとき西武にいた中嶋が、松坂大輔(現レッドソックス)の1年目のキャンプでスライダーを封印して変化球はカーブばかり投げさせたことを覚えていた。

 大輔にとってスライダーはいつでも投げられる球。カーブを投げることによって肘を柔らかく使わせたかった。カーブを曲げるには肘を前に出さなきゃいけない。大輔は軸足の右足が残って前に出て行かないところもあったのだが、右肘が前に出れば右足も前に行く。バランスを良くする狙いもあった。

 そんな話をした直後のフリー打撃登板。初めて打者を相手に投げるといっても味方である。外角ばかり。中田に大きな当たりをされても打球を見ようともしない。制球と切れだけ意識しているように見えた。一番の目的は肩づくり。13日の韓国サムスン戦で投げるためのステップである。その意味では無事に準備段階を終えたと思う。

 いよいよこれからが本番。敵の打者を相手にどんな投球をし、打者の反応から何を感じるか。和歌山の実家が近所で私の御霊中、箕島高の後輩、吉井投手コーチもまだ何も言わず、何が必要か本人が感じるのを待っているという。

 私が注目したいのは実戦におけるスライダーの曲がりだ。ブルペンでは曲がりが大きすぎる。真っすぐを投げるときより右足が残り、指先で曲げようとするから大きく曲がってしまうのだ。

 スライダーは曲げる球ではなく切る球。曲がりが大きいと打者に早く見極められるし、ストライクにするには内側から入れなきゃいけない。甘くなれば極めて危険。スライダーは指先で切って打者の手元で鋭く変化させてこそ武器になる。

 実戦でのスライダーとともに確かめたいのが打者のタイミングをどうやって外すかだ。意識が出てきたとはいえ現時点では緩いカーブがない。何らかの方法で緩急をつけるか、フォームでずらすか。じっくり見させてもらいたい。

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2011年2月11日のニュース