3年連続1位へ 横浜・渡辺「ギャンブルには勝たないと」

[ 2011年2月6日 10:19 ]

渡辺の守備時の構え

 楽天から今季横浜に移籍した渡辺直人内野手(30)は、09、10年と2年連続でパ・リーグの遊撃手として守備率1位(09年・988、10年・984)をマークした。広い守備範囲を生み出すキーワードは「動から動」。移籍1年目、チーム再建のカギを握る男の守備の極意とは――。

 渡辺が守備に就く時、ぜひ足元を見てもらいたい。通常は両足を平行にして腰を落とすが、渡辺は右足を30センチほど前に出して構える。そして投手が投げる瞬間に打者方向に小走りに動きだす。

 「結果的に横や後ろの動きになってしまうこともあるけど、僕は常に前に動く意識を持つ。その準備の足の位置がこれ。助走をつけてプレーに入る感覚です」。ボールがバットに当たった瞬間に体が動くのではなく、その前に既に動いている。この動きは「小坂誠さん(元楽天=ゴールデングラブ賞4度)のプレーを目で盗んだもの」という。広範囲を求められる遊撃手。勢いがつけば、当然「静」から動く野手よりも守備範囲は広がる。さらに動きだす時は、初動をスムーズにするために「両足の親指の付け根に力を入れる」という。

 一方でコンマ何秒の「間」もつくる。打者のインパクトの時、グラブを一瞬地面に落とす。「心が落ち着く時間をつくるんです。本当、瞬間的ですよ」。馬場内野守備走塁コーチはこう説明する。「確かに動きの中に“間”を感じる。それを感じた時“渡辺はこの打球を捕るな”と思う」。攻撃的な守備と冷静な思考能力が、名手を支えている。

 守備には、やはりこだわりがある。「正面で捕ってもセーフじゃ意味がない。ダイビングスロー、逆シングル何でもいい。アウトにする。ギャンブルには勝たないと」。基本ができているからこそ重みある言葉だ。今キャンプでは石川、藤田、山崎らと二遊間のレギュラー争いを続けている。だが3年連続最下位のチームに名手が加わったことは、投手陣の大きな手助けとなるのは間違いない。

 ≪ベストプレーは?≫渡辺が「自身のベストプレー」と語るのが、09年8月7日の日本ハム戦(Kスタ宮城)の守備。遊撃手で途中出場すると、3―1とリードした8回、雨が降る中で1死一、二塁から金子誠の中前に抜けそうな鋭いゴロをダイビングキャッチ。併殺でピンチを救った。楽天・田中が3度目の直接対決で初めてダルビッシュに投げ勝った試合。「田中も勝ったし、僕の動きも完ぺきでした」と、今でもその時のイメージは頭に残っている。

続きを表示

2011年2月6日のニュース