マー君 迫力黄色マウスピースで開幕つかむ!

[ 2011年2月3日 06:00 ]

マウスピースをつけ投げ込んだ楽天の田中

 新兵器導入で開幕投手ゲットだ!2日連続でブルペン入りした楽天の田中将大投手(22)がマウスピースを装着し、捕手を初めて座らせて32球を投げた。度重なる故障から今季は下半身主導で右腕を柔らかく使ったフォームに改造。マウスピース効果も加わりボールに切れ味が増した。進化した怪物右腕が星野新体制の下、プロ5年目で初の開幕投手を狙う。

 まるでヘビー級ボクサーだった。投球練習を始めた田中の口には黄色のマウスピース。1メートル88の巨体がさらに凄みを増した。その迫力とは対照的にフォームはしなやか。ゆったりと左足を振り上げ、右腕をしならせる。そこから放たれたボールは糸を引くようにミットに吸い込まれた。

 「いい感覚だった。思い切り投げていないけど、力強いボールが投げられた」。太腿内側の内転筋をしっかり使い、そこにためたパワーを上半身に伝える。そして右腕の力をできるだけ抜き、リリースする瞬間だけ力を込めて投じる。田中はキャッチボールでも1球1球フォームを確認。今キャンプで初めて田中の投球を見た星野監督は「この時期は腕の振りを見ているが、田中はものが違うな。腕の使い方が非常に柔らかい」と絶賛した。

 新フォームをさらに向上させたのがマウスピースだ。ダルビッシュが昨年の試合で使用したが、田中も昨秋から試し始め、今キャンプで初披露。「かみ合わせが良くなるし、力を入れられるようになった」と効果を説明した。08、09年に右肩痛、昨季も右大胸筋部分断裂。上体の力に頼ったフォームが故障の要因だが、その上体には歯にかかる負担を軽減するために無理な力が入っていた。マウスピースを装着すれば歯を食いしばれ、上体にも負担をかけないで済む。さらに体の軸を安定させる効果もあり、同期の広島・前田健のようなしなやかなフォームが可能になった。

 これまでの「剛」の投球に「柔」が加わり、マウスピース効果も加わった。狙うは初の開幕投手の座。エース岩隈も5年連続を狙うが、田中も「開幕を目指して頑張ります」と宣言した。開幕投手について星野監督は「俺はヨシ(佐藤投手コーチ)のイエスマンだから」とかわし、同コーチも「寝ないで考える」と苦笑いしたが、裏を返せば田中を岩隈と互角に見ている証拠。田中の進化が星野楽天を強くする。

 ▽野球選手とマウスピース 日本ハム・ダルビッシュや、野手では阪神・鳥谷、横浜・村田、ソフトバンク・多村らが試合でも使用。歯列をしっかりかみ合わせることで歯や口内の損傷を防ぐほか、脳への振動を軽減し、体の軸が安定するといわれる。またウエートトレーニングで使用する選手は多い。レッドソックスの松坂も西武時代に「筋肉のバランスが良くなり故障防止につながる」との理由で、ブルペン投球用として作製したことがある。巨人のドラフト1位右腕・沢村(中大)もブルペン入りの際に使用している。

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2011年2月3日のニュース