青木 3度目の200安打へ“スロースイング”

[ 2011年2月2日 06:00 ]

青木のティー打撃 (1)

 ヤクルト・青木宣親外野手(29)が1日、沖縄・浦添のキャンプ初日を「スロースイング練習」でスタートさせた。ティー打撃であえてゆっくりとバットを振ることで、地面に対して平行にバットを出すレベルスイングの究極形を追究する「匠の技」。2年連続の首位打者、そして3度目のシーズン200安打を目指す安打製造機の秘密に迫った。

 速球に対応するため野手は通常、より速いスイングスピードを求める。だが、青木は違った。ネット裏のティー打撃。ゆっくりとバットを振っていた。決して力は抜いていない。そこには確固たる理由があった。

 「早めに始動して準備した状態でゆっくり振る感じ。初めて200安打を打った05年にその方がいいと考えた。もちろん試合はスイングが速いに越したことはないが、練習では感覚の中でゆっくりをイメージする」

 ティー打撃のスイングスピードを和製大砲・飯原と連続写真で比較した。飯原は始動から2コマ目で既にインパクトを終えているが、青木のバットはまだ残っている。飯原がほぼ振り切った3コマ目で、青木はようやくインパクトを終えている。

 ゆっくり振る――は、青木の打撃理論「来た球を点ではなく、面でとらえる」がベースとなる。「面」とは球に対してレベルスイングでバットを出し、振り抜くまで手首を返さずに球を押し込む。テニスのバックハンドと同じイメージだ。伊勢総合コーチは「ゆっくり振るのは真っすぐ送り出すことの確認では。彼が広角に打てるのはコースに逆らわずに、球を真っすぐに送り出す技術があるから」と分析する。

 さらに、スロースイング練習は安打量産に加え、ボールの見極めにもつながる。「思い切り振ろうと待っているとヘッドが返って止まらない。ブイッと振らなくなることでボール球に手を出さなくなる」。ゆっくり振ることの確認が200安打への近道。青木ならではの工夫がそこにあった。

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