沢村 斎藤眼中になし!開幕ローテへ遠投調整

[ 2011年1月5日 06:00 ]

真剣な表情でキャッチボールをする巨人・沢村

 巨人のドラフト1位右腕、沢村拓一投手(22=中大)が4日、東京都八王子市の中大グラウンドで自主トレを公開。8日から始まる巨人の新人合同自主トレでは遠投中心で肩を仕上げていく独自の調整法を明かした。過去に巨人、西武で新人王を獲得したオリオールズ・上原浩治投手(35)、レッドソックス・松坂大輔投手(30)の両右腕も同期間は同様の調整法でブルペン入りはしていない。また、昨秋ドラフト同期生の日本ハム・斎藤佑樹投手(22=早大)には徹底して無関心を貫いた。

 「ウォオオ!」。球場施設内での筋力トレーニング。下半身強化のため、185キロの重量でバーベルスクワットを持ち上げる沢村の地鳴りのような雄叫びが6度響いた。

 始動日とは思えないほど気合がみなぎっていた。午前8時25分にグラウンドへ現れるとランニング後に、両翼のポール間走を5本、ポールとセンター間を5本走ってキャッチボール。相手役を務めた巨人・上野広報が思わずのけぞる剛球にも、「まだ5割ぐらい。初投げでバランスは悪かったけど、投げられたのは良かった」と涼しい表情だった。

 開幕ローテーション入りに向けて、調整法もしっかり描いている。「自分は気持ちが体より先走るので焦らずにやりたい。遠投で距離を延ばしてからブルペンに入りたい。オープン戦でしっかり投げられる状態にしたい」と強調した。巨人では8日から新人合同自主トレが始まるが、そこでは80~90メートルの距離での遠投を中心に肩を仕上げていく。99年に新人王を獲得した上原、松坂も新人合同自主トレでブルペンに入っていないが、遠投中心の調整法には確固たる理念がある。ボールを遠くに投げるには回転が大事。遠投では空気抵抗に大きく左右されるので、シュート回転などしたボールでは届かない。そして遠投といっても、上原、松坂同様に最終的には山なりではなく、低い球道で行う。もちろん、調整が順調に進めば、1月中のブルペン入りも視野に入れている。

 スタミナ強化にも余念はない。下半身の筋力トレーニングを継続し、体重は昨秋のリーグ戦終了後から2キロ増の92キロ。昨秋ドラフト入団選手の中で最重量だ。

 日本ハム入りした斎藤ら同期生に注目が集まる中、「同世代を意識することは全くない。僕はジャイアンツの一員。チームの勝利に貢献できる選手になるだけ」と言い切った。勝負はまだ先。「1軍の人に追いつくには一日一日を無駄にすることなく練習しかない。勝ちたいんで。本気です。自分に一番期待しているのは自分自身」。負けん気の強い眼光が一層鋭くなった。

 ◆沢村 拓一(さわむら・ひろかず)1988年(昭63)4月3日、栃木県生まれの22歳。東陽中では軟式野球部に所属して投手。佐野日大3年夏の栃木大会は準優勝も登板なし。中大(当時2部)では1年春からベンチ入りし、08年秋に1部昇格に貢献。昨春のリーグ戦で神宮学生最速の157キロをマークした。1部リーグ通算41試合19勝14敗、防御率1・31。1メートル84、90キロ。右投げ右打ち。

 ◇上原と松坂の新人合同自主トレ
 ☆上原(巨人=99年) 一度もブルペン入りせず。打ち上げの1月29日には「(キャンプでは)ブルペンで投げるのではなく打撃投手で調整していきたい」と独自の調整法を主張した。宮崎キャンプ2軍スタートとなったが、初日にブルペン入りし立ち投げで約50球。視察した長嶋監督(現終身名誉監督)が絶賛し、9日に1軍合流。
 ☆松坂(99年=西武) 1月12日、西武第2での初日にキャッチボールで推定120キロの高速投球。同19日に「自主トレ中はブルペンに入る気はない」と遠投中心の肩づくりを明言。同24日にはキャッチボールながら135キロ級の剛球でパートナーの星野のグラブの革ひもを破壊。高知・春野キャンプの2月3日に初めてブルペン入りし捕手を立たせたまま91球を投げた。

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