松坂、完全復活へ「個人とチームの融合」

[ 2011年1月4日 06:00 ]

勝負の5年目となる松坂大輔は復活に向けて意気込みを語る

 レッドソックスの松坂大輔(30)投手は完全復活へのキーポイントに「個人とチームとの融合」も掲げる。結果を残すには自分の状態とともに、チームの状況把握も大切だと説く。そして、30歳を迎えて今後の野球人生で考えているものは何か。核心に迫った。

 ――不本意な結果に終わった過去2年の巻き返し、そして6年契約の5年目という意味でも、分岐点のシーズンとなる。
 「09年はしっかりと体調を整えられなかった自分の責任を痛感した。昨年はいい球は投げられているが、なかなか結果が伴わない。あらためて野球の難しさに気づかされた1年だった。そこに結果が伴うには何が必要かを考えた。あとは故障しないように3月までトレーニングを積んで、自分が出した答えが合っていることを証明していく」
 ――「何が必要か」の答えとは。
 「個人的な問題だけでなく、チーム全体のことも考えること。自分がゲームの中で何を考えているのか、ゲームの流れを知ること、そしてチームの状況をよく知らないといけない。去年はそこまで周りも見えていなかったんじゃないか。このオフよく考えた結論は、自分とチームが融合というか、一体となれるようにすることだと思う」
 ――ファンに納得してもらえるには結果を出すこと。自身に課す数字のノルマはあるのか。
 「去年よりも多く投げること。まず200(投球回)という数字を見るよりも、昨年より多く投げること。投げてからですね。僕の中では、今から決まっているとは思っていない、まず先発の位置を確保すること。そこからスタートです。昨年と変わらないですね」
 ――野球人生の設計図について。ここからピークを迎える時期となる。
 「今、僕がトレーニングをする中で長期的に思っていることは、ピークを遅らせること。ここですぐにピークを迎えるとも思っていないですし、もう少し遅らせたい。一番はピークがあったと思わせないことですよね。イチローさん(マリナーズ)がそうだと思いますし、常に高い位置をキープできるようにしたいと思う。まずはそのための基盤をつくらなきゃいけない。なかなか難しいことですけど、苦しいことにどんどんチャレンジしていきたい」
 ――球種もまた、新しい武器を手に入れた。スプリットチェンジと言われる人さし指と中指からボールを抜くチェンジアップを9月に投げた。
 「米国に行ってからスライダーにもいろいろ種類があるし、チェンジアップにも何種類もタイプがあるし、凄く面白いなと思って、自分もいろいろなものを試していきたいと思っていました。なかなか変化の違いを自分で感じることができなかったのですが、ブルペン捕手が“いい変化をしている”と。腹を決めて試合でぶっつけで投げてみたら意外にこれが(笑い)。初めて投げたヤンキース戦で、あの打線に通用するボールだと自信はつきましたよね」
 ――球種への向上心、探求心は野球人生の方向性を見つける意味では重要なこと。
 「同じ球種でもみんな握り方が違う。ほかの投手を見ていても、よくこの投げ方でこれが投げられるなと思うことがある。僕と比べて大リーグの投手は手が大きいので、僕が同じように投げてもしないような変化をします。でも少しアレンジを加えれば、また違った新しいものが生まれるのではないかなというのはある。あとはしっかり取り組める時間を自分でつくらなきゃいけない」

 ――30歳になった。20代の野球人生を踏まえた上で、今後の10年の目標はあるのか。
 「20代の10年を考えても、何もならなかった1年はなかった。1年1年がしっかりと次の年、経験したことが2年、3年後に生きた。ですから、これから40歳になる10年も1年1年、自分の中にしっかり残る年にしたい。そして、40から50につながる10年にしなきゃいけないと思う。今は抽象的ですけど、何年かすれば、もっと具体的にプランを考えられるかもしれないですね」
 ――今年もツインズ・西岡ら新たな日本選手が大リーグに来る。
 「また、ア・リーグに日本人選手が増えた。同じフィールドで顔を合わせることができるようになるというのは、うれしい。(西岡)剛と対戦できることも楽しみにしているし、見ている方が、面白いと思える勝負をまた1つ増やすことができたらいい」
 ――昨年はチャリティーにも積極的に取り組んだ。その反響は。
 「米国でも感謝の言葉をオフになって聞くことが多かった。これだけの人が知ってくれているということをオフになってあらためて感じました。でも今の活動は始めたばかり。まだまだできることってあると思うし、もっと広げていけたらと考えています」
 ――グラウンド内外の姿勢も時代を代表する投手の使命。若手も続いてほしいですね。
 「野球をやっていく上で、支えてくれているのは野球が好きなファンの方たちだけではない。本当にそれ以外の方も含めて多くの人たちに支えられていることだと強く思っています。自分も強く意識してプレーしていくし、ほかの若い選手たちにも、その意識は忘れないでほしいですね」
=おわり=

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2011年1月4日のニュース