岩隈 2年越しの夢舞台へ“ハラデーに学ぶ”

[ 2011年1月1日 06:00 ]

2011年の干支・ウサギのミッフィーのぬいぐるみとイワクマクマのぬいぐるみ(左)を持つ岩隈

 日本球界トッププレーヤーのメジャー挑戦の流れは加速するばかり。来オフも海の向こうを目指す大物選手が多く控える。その中、楽天・岩隈久志投手(29)が憧れの大リーグへの思いを語った。今オフはポスティング・システム(入札制度)を利用して移籍を目指したが、独占交渉権を得たアスレチックスとの交渉が決裂。順調にいけば今年6月に取得する海外フリーエージェント(FA)権を行使して、来オフのメジャー移籍が有力視される。2年越しの夢舞台に向け、岩隈は昨季サイ・ヤング賞を獲得したフィリーズのロイ・ハラデー投手(33)を究極の目標に掲げた。

 手を伸ばせば届くところで、夢は逃げて行った。アスレチックスとの交渉決裂で、メジャー移籍を断念。今季は楽天の日本一に全てを注ぐことを決め、メジャーへの思いはひとまず封印する。それでも、岩隈の憧れが薄れることはない。
 「球が動くってことがおもしろい。そこで学べることがあるはず。一番の楽しみは他の投手を見ること。心理戦、精神面を含めて投手の技術を見て学びたい」
 岩隈の最大の興味は世界トップレベルの打者との対決より、投手としての技術を習得することにある。最終目標は昨季リーグ最多21勝を挙げてサイ・ヤング賞を獲得したフィリーズのハラデーだ。シンカーとカットボールを武器にゴロを打たせる投球が持ち味。昨年5月29日のマーリンズ戦では完全試合を達成した。自らと投球スタイルが似ている右腕に「球を動かして抑える投手に関心がある。中でもハラデーは究極ですね。低めに球を集めて球数も少ない。あそこまで、どうやって球を動かすのか凄く興味が沸く」と興奮気味に話した。
 順調なら6月に海外FA権を取得する。「今は何も考えられない。1年間、楽天でプレーしてからです」と権利の行使について明言を避けたが、FA権を行使しての移籍となれば、球団を自由に選択できる。岩隈が移籍先に求めるのは家族の住生活を含めた環境面、そして何より「自分を本当に必要としてくれること」を挙げる。相手の自分への熱い思いさえ伝われば、交渉が決裂したア軍に対してさえ「また来てくれるんであれば考えると思います」と言う。交渉期間中にア軍側から「岩隈が7年総額105億円を要求している」などと事実と異なる報道をされた。「自分も家族も本当に悲しかった。お金をいくら積まれても行こうという気持ちにはなれなかった」と心に大きな傷を負ったが、その過去もリセットする。
 メジャーで一暴れも二暴れもした後の野球人生についても、「いずれ日本に戻ってプレーしたい。向こうに行ったら考え方が変わるかもしれないけど、メジャーの経験を日本で生かしたり伝えたりできるはず」と青写真を描いている。
 「今の自分のレベルで、メジャーでどれだけできるか知りたい」。岩隈の大リーグ挑戦は、自分探しの旅でもある。

 ≪今季は楽天Vに集中≫岩隈が今季にかける思いは強い。昨年は打線の援護に恵まれずに10勝止まり。チームも4年ぶり最下位に沈んだとあって「楽天は優勝できる力のあるチーム。チームを引っ張って勝利に貢献したい。62勝79敗に終わった昨年の勝ち数と負け数を逆にしたいですね」と巻き返しを誓った。シーズン中はメジャー移籍を意識した練習や調整も一切行わず「楽天で優勝することしか考えていない」と悲願成就に向け集中する。

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2011年1月1日のニュース