野手いない!外野に投手…阪神、総力戦で首位死守

[ 2010年9月10日 06:00 ]

ブラゼルの退場で交代野手が不在…。緊急事態に協議する真弓監督(右から2人目)ら

 【阪神2-2中日】総力戦で首位を死守した。阪神は9日、中日との首位攻防第3ラウンドで5時間21分の激闘の末、9回2死から追いつく勝ちに等しいドロー。延長10回にクレイグ・ブラゼル内野手(30)が退場処分を受け、ベンチ入り野手が残っていない非常事態となったが、西村憲投手(23)が外野の守備に就き、窮地をしのいだ。2位・中日とのゲーム差は0・5と変わらず。10日にヤクルトに勝利し、巨人が負けると今季初めてマジックが点灯する。

 誰がこんな展開を予想できただろう。延長11回、甲子園がざわめく中、右翼の守備位置に向かったのは、中継ぎの西村だった。「外野は高校以来かな。ひと通りのポジションは経験していました。打撃練習で打球を見ていたし、そのイメージで守ってました」。守備機会こそなかったが、外野手として2イニングを守り、試合後は笑みをこぼした。
 まさに緊急事態だった。延長10回1死満塁のサヨナラの好機で、浅井の鋭い打球は遊直となり、一塁走者のブラゼルは帰塁できずに併殺。この判定に猛抗議し、真鍋塁審に暴言を吐いて退場処分となった。この時点でベンチ入りの野手16人をすべて使い果たしていた。ベンチは慌て、首脳陣が緊急会議。「誰に聞いても西村がうまいということだった」。藤川の推薦もあり、真弓監督は中堅の浅井をブラゼルの代わりに一塁に回し、西村の外野起用を決断した。
 ここから阪神ベンチは見事な采配を見せた。「打球が飛びそうな方に野手(平野)を守らせたかった。(中堅の)藤川俊にはできるだけ(西村の方に)行くように言っていた」と山脇守備走塁コーチが打者ごとに守備位置を指示した。藤川の球威を考え、中日の打者は引っ張れないと判断。左打者の時には右翼、右打者の時は左翼へ。計4度、外野の端から端へとポジションチェンジを行い、打球が飛んでくることなく難を逃れた。
 負ければ首位陥落の一戦。1―2とリードされた9回2死、藤川俊が中日の守護神・岩瀬から右中間三塁打を放ち、続く代打・桧山が「藤川俊が三塁まで行ってくれたので、向こう(岩瀬)も開き直ってくるだろうと思って、こっちも開き直って思い切りいった」としぶとく二塁後方に落とし、土壇場で追いついた。2日前に2回を投げた藤川は延長10回から再び2回を無失点に抑えた。
 西村は延長12回2死一塁で打席にも入り2球続けて豪快な空振りをするなど、勝利への執念を見せた。最後は新井の盗塁死でゲームセットとなったが「次はピッチングで貢献したいですね」と話した。総力戦で勝ちに等しい引き分け。首位を死守した真弓監督は「イチかバチかで、とにかく追い付いてということなんでね。ケガなく引き分けられて良かった」と安ど感をにじませた。

 ▼阪神・ブラゼル(延長10回に審判に暴言で退場)あの場面は感情が出てしまった。迷惑を掛けてしまった。申し訳ない。

 ▼阪神・藤川(延長10回から2回を無失点)最後、福原さんが頑張ってくれて良かった。(西村のところに打球を)飛ばす気はなかったが、よく頑張ったと思う。

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2010年9月10日のニュース