島袋106K!マー君&佑ちゃん抜いて歴代3位

[ 2010年8月18日 06:00 ]

<興南・仙台育英>5回を投げ終えた島袋(右)は山川と笑顔で話す

 【興南4―1仙台育英】沖縄初の深紅の大旗にまた一歩近づいた。第92回全国高校野球選手権大会第11日は甲子園球場で3回戦が行われた。史上6校目の春夏連覇を狙う興南は17日、3回戦で仙台育英(宮城)相手に左腕エースの島袋洋奨投手(3年)が6安打1失点、10奪三振で完投勝利。同校を30年ぶり8強へと導いた。島袋は甲子園通算106奪三振で、74年の金属バット導入以降では田中(駒大苫小牧―楽天)、斎藤(早実―早大)を抜いて史上3位に躍り出た。18日の準々決勝第2試合で、聖光学院(福島)と対戦する。

【試合結果


 目の前の敵を真っ向勝負でねじ伏せた。141球。同校を30年ぶりの8強へと導いた島袋は、カクテル光線の下で日焼けした顔をほころばせた。
 「正直ホッとしています。記録は記録として良いように考えたい。でも三振は意識してない」
 6安打1失点。10三振を奪って2戦連続2ケタ奪三振。1974年の金属バット導入以降、歴代3位の甲子園通算106奪三振にも記録には興味を示さなかった。欲しいのは白星だけ。中1日の登板も我喜屋監督が「ブルペンが良すぎる。力まなければいいが」と心配したほど、試合前からアドレナリン全開だった。

 直球はいきなり初回に自己最速を2キロ上回る147キロを記録した。「勝負球」と公言する速球で序盤から押した。2回、先頭の三瓶に今大会初被弾となるソロを浴びたが「体が三塁側に流れる癖が出た」と即座に修正。後続を連続三振に斬って取った。最大のピンチは7回。二塁打と2四球で2死満塁としたが「勝負球でもない球で勝負したくなかった」と6球すべて直球勝負で中飛に打ち取った。一方で8回2死からは本塁打を打たれている三瓶に「走者もいないし余裕があったから」と今度は4球すべてツーシームで空振り三振。この度胸と柔軟性が打者、そして相手ベンチの頭を悩ませ、フルスイングを許さない。金属バット導入後の最多奪三振は桑田(PL学園)の150だが、25試合で積み上げたもの。島袋は10試合で106個。奪三振率10・64は脅威の数字だ。

 この試合は沖縄勢にとって夏の甲子園100試合目。自身現役時代の68年に興南旋風を起こして4強入りした我喜屋監督は「感慨深い」と振り返り「春優勝の責任や重圧も味方につけて、選手たちは成長している」と会心の勝利に目を細めた。
 18日の準々決勝は聖光学院相手に連投となるが、沖縄大会中に2日続けて200球の投げ込みを行うなど万全の準備をしてきた島袋は「成果を見せられる」と不安はない。「監督に追いつき、自分たちの目標に追いつくように精いっぱいやりたい」。トルネード左腕には、沖縄勢の悲願である夏の大旗がもう見えている。
 ▼興南・我喜屋監督 大きいのを狙わず、とにかくつなげろと指示し、ピッチャー返しを徹底した。春優勝の責任や重圧も味方につけて、選手たちは成長している。

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2010年8月18日のニュース