西武 今年の“きよし”は安定志向より変革

[ 2008年6月24日 07:20 ]

 交流戦の最終戦を落とし6連敗になったパ・リーグの首位西武。しかし、ここまでトップを守ってきたのは、細川亨捕手のリードが見逃せない。

 意表を突く絶妙な配球で、他球団のスコアラーをうならせる。演歌歌手の氷川きよしに顔が似ているため、愛称“きよし”と呼ばれる7年目の捕手にとって今季は新境地を切り開くための「変革年」になりそうだ。
 プロ入り以来、配球の研究熱心さには定評があった。試合中でもミーティングでも気付いた点があればすぐにメモ帳に書き留める。すでに、その厚さは電話帳を超えるほどになった。昨季までは事前に集めた情報を基にオーソドックスな攻め方を貫いてきた。
 それを、どのように変えたのか。細川は「“感性のリード”に挑戦しています」という。「グラウンド上で感じたことをもっと生かそうと思って、あえて勉強するのもやめました」とさばさばした表情で打ち明けた。
 マスク越しに各打者の息遣いまで観察し、集中して相手の狙いを読む。データに頼り過ぎず、五感でつかんだ情報と、2年目から毎年90試合以上出場してきた経験を掛け合わせ、投手の力を最大限に引き出そうとしている。ベテランの石井一も「その時々で何が一番いいボールなのかを考え、引き出してくれる」と信頼を寄せている。
 スタイルを変える転機となったのは、背中を追い続けた先輩捕手、伊東勤前監督が昨季で退団したことによる。細川は「独り立ちしないといけない、との思いが強くなった」といい、背番号27を引き継いだ自覚が安定志向の“殻”を打ち破り、成長を促してくれているのだとも。
 北京五輪日本代表の最終候補39選手に堂々と名を連ねている。打撃では、相手捕手の配球傾向を読み切ることで豪快な一発を放っている。攻守に脂が乗ってきた。

 ◆細川 亨(ほそかわ・とおる)青森・青森北高―青森大から02年に自由枠で西武入り。強肩と実直な性格で信頼は厚い。183センチ、95キロ。右投げ右打ち。28歳。青森県出身。

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2008年6月24日のニュース